卒業旅行で向かったメキシコで、意外な出会いがありました。

カテゴリー【旅✖️神様】では、様々な人が体験した旅先での奇跡の瞬間をお伝えしています。この体験談を読んで、旅で起きる様々な奇跡の瞬間を感じていただきたい、そして実際に旅に出て奇跡の瞬間を体験してもらいたい、その思いで伝えています。

 

メキシコ行きの決意はいとこや友人の一言がきっかけでした。

アルバイトに明け暮れ、自力で何とか生活しながら大学へと通っていた私は、大学4年生の夏、無事に来春から勤める就職先からも内定をいただき、あとは卒業まで平穏無事に暮らすだけでした。

大学入学と同時に地方から東京へと上京してきた私は、家庭の諸事情から仕送りが一切なかったため、4年間はアルバイトとして働きながら大学へ通うしか手段はありませんでした。

1年生の頃は住み込み寮で暮らしながら新聞奨学生として働き、生活費を貯金後、2年目からはアパートで一人暮らしをはじめ、まかないつきの飲食店でアルバイトしました。

アルバイト先には他大学の学生の他、バンドマンや劇団員、ボクサー、フリーターといった様々な人がいて、働いているだけでも刺激がたくさんありました。

4年生になり、就職先が決ると、仲間内で出てくる話題といったら卒業旅行に関してでした。アメリカやヨーロッパ、オーストラリアといったところが人気で、話をしている仲間たちはみんな目を輝かせて楽しそうに話していたのが印象的でした。

しかし、私はその日の生活を送ることだけで精一杯であり、卒業旅行に関しては行こうなどとは思いもせず、自分には関係のないことと最初から諦めていました。

そんな矢先、東京に住んでいたいとこから電話がありました。

社会人になるとまとまって取れる休みもほとんどないことから、今のうちに借金してでも海外に行き、見聞を広げたらどうかというものでした。

そして今度は偶然にも翌日、友人から同じことを言われ、いっしょにアメリカとメキシコへ行かないかと誘われたのでした。自分には関係のない卒業旅行とは思いながらも、海外旅行へは以前から興味があったため、私の気持ちは「行きたい」から「行く」へと変わっていきました。

30時間もかけてのバス旅行

アメリカとメキシコへ行くことが決まり、旅費は借金をすることになりました。しかし、費用はなるべく安く抑えたかったので、私と友人はアメリカまでの格安往復航空券のみを買い、あとは陸路でメキシコを目指すことにしました。

日本からロスアンゼルスまで約10時間以上かけて到着し、国境まではバスと鉄道を使い、メキシコからは高速バスで向かうことにしました。

英語やドル表記だけの看板がメキシコ内部へ行くほどスペイン語やペソ表記となり、言葉もどんどん通じなくなってしまいました。しかし、お互いの表情や動作でなんとか会話できることも同時に学び、楽しく旅行することができました。

親日であり人懐っこいメキシコ人たちは私たちにあたたかく接してくれ、初めての旅行でも怖い思いは何一つありませんでした。

ただし、ガードレールのない山道を猛スピードをあげて走るバスは恐ろしくもあり、30時間かけてメキシコシティを目指して体も疲れているわりにはあまりぐっすり眠ることはできませんでした。

しかし、ようやくメキシコシティへ到着すると、たまたま宿泊した安宿の近くがプロレス会場で、日本人観光客も大勢訪れていました。そして、通りすがりで会った他の日本人学生たちからいっしょにプロレスを観に行かないかと誘われ、私と友人は言われるがままにプロレス会場へと向かいました。

覆面レスラーばかりのメキシコのプロレスはいわゆる空中殺法が多くとても派手で、観ているだけでとても楽しかったです。

そして、その日、今ではタレントとしても有名となったある日本人女子レスラーが試合をしていて、記念にサインももらうことができました。

長旅すぎて疲れていた私も、このときは本当に嬉しくて、この奇跡の出会いに勇気やパワーをもらうことができ、借金しても旅行に来たことに本当によかったと心から思いました。