失恋とヨーロッパバックパッカー旅行

カテゴリー【旅✖️神様】では、様々な人が体験した旅先での奇跡の瞬間をお伝えしています。この体験談を読んで、旅で起きる様々な奇跡の瞬間を感じていただきたい、そして実際に旅に出て奇跡の瞬間を体験してもらいたい、その思いで伝えています。

 

30歳での、まさかの婚約解消でした。

どちらが悪い、などという話はもう無駄なほどこじれてしまっていました。私はすでに会社を辞め、一人暮らしのマンションを引き払う連絡も管理会社に入れてしまい、途方にくれてしまいました。

実家で親は腫物に触るように私に接していました。しかし、一日中、特に何をする事もなく、また気力も湧かないのです。

そんな時、ふと数年来の夢であるヨーロッパの旅を思いつきました。

結婚式場の前金は元婚約者が支払ってくれたため、多少のお金の余裕はありました。一度社会人になれば長い休みをとる事なんてめったとできません。どうせなら、長期間行ってリフレッシュしてこようと思いました。

バックパッカーのような旅行はアジアで経験があります。しかし、ヨーロッパは行った事がありませんでした。それでも行き当たりばったりの、旅行中にプランを立てるような旅にすれば嫌な過去も忘れられると考えました。

そうと決まれば、すぐに2週間後に出発するベルリン行き、帰路はリスボン発のチケットを入手しました。

チケット入手から2週間後、ヨーロッパ失恋失業旅行が始まりました。

飛行機に乗り、ドーハで乗り継ぎ、ベルリンに到着。

チケットを入手したときから、心のバランスは失恋の傷みよりも旅行に対する緊張に比重が重くなってきました。一人で無事、帰ってこられるか、ヨーロッパはスリが多いと聞くが大丈夫なのか、そんな心配が渦巻いていました。

しかし、初のヨーロッパ旅行に対して大きな期待もありました。

降り立ったベルリンの空港から予約したゲストハウスまで自力で行かなければなりません。バスや電車では緊張しながらも、自分がヨーロッパにいるという喜びに浸りました。日本も失恋もすでに遠く離れた場所に私はいると感じました。

ベルリンからパリ、パリからミラノへ渡ったとき、一人の日本人男性と知り合いました。

ゲストハウスで同じ国の人と出会うと、ほとんどの場合、どちらからともなく話をします。彼は1歳年下で、2か月間旅をする予定で、1か月を過ぎたところということでした。

翌日は二人でミラノのドゥオモに行きました。ドゥオモはとても口では説明できないほど、荘厳で美しい建物でした。外観にも圧倒されますが、その内部の造りも素晴らしくもただ目を瞠るばかりでした。一人で来ても感動したと思いますが、昨日知り合ったばかりとは言え、誰かと共有できることはラッキーなことでした。

彼はこれからフランスへ、そして私はイタリアを南下していく予定でした。二人ともスペインのバルセロナへ立ち寄る予定でしたが、LINEアドレスだけ交換して、あえて約束はしませんでした。

彼はすでにイタリアのヴェネツィア、フィレンツェを訪れていたので、おすすめの宿を教えてもらってお別れしました。

再び、孤独な旅になりました。しかし、次のヴェネツィアでも日本人の男性と知り合いました。ただ、彼とは連絡先を交換せず、旅の情報交換をしただけでした。普段、自分から男性に話しかけることはできませんが、異国で日本人と出会うと、自然と話しかけることができます。二人で、ゲストハウスのキッチンでお酒を飲みながら旅の話をしました。

フランスの南側からスペインのバルセロナへ、バスで移動しました。バルセロナに入る前日にミラノで出会った彼に連絡をとってみると、私が到着する日にバルセロナを経つ予定とのことだったため、夕食だけ一緒にできることになりました。これまでの旅の話をして、楽しいひと時を過ごしました。

その時点で旅に出てから1か月が経過していました。

旅先でカップルを見かけて切ない思いをする事もありましたが、色んな出会いもありました。

いつの間にか、次への恋も意欲的になっていました。そして旅により、出会いは簡単に見つけられる、そう思ったことが大きな収穫でした。

何よりも今、旅の魅力に改めて気づかされ、結婚したら旅なんて出来ないのでシングルで良かったとも思えます。

もちろん、素敵な人と旅に出られるのが理想ですけどね。

追記:
飛行機のチケットは往復で12万円ほど。40日間の旅費は60万円ほどでした。所要時間は行きは約14時間、帰りは約16時間でした。(どちらもドーハ経由)