結婚直前での失恋・破局〜沖縄の離島小浜島で癒されて〜

カテゴリー【旅✖️神様】では、様々な人が体験した旅先での奇跡の瞬間をお伝えしています。この体験談を読んで、旅で起きる様々な奇跡の瞬間を感じていただきたい、そして実際に旅に出て奇跡の瞬間を体験してもらいたい、その思いで伝えています。

 

失恋で傷心旅行をしたことがある女性は少なくないのではないでしょうか。

私もその一人です。

結婚直前まで行っていた男性との突然の破局。
ぼろぼろの精神状態。少しも癒しを求められない仕事に追われる日々。

極限状態の中、私はある日突然有給消化で「仕方なく」一週間の休日を上司に投げるように渡されました。

季節は冬。極寒の2月です。しかも明後日からです。

別に上司に愛されたくはありませんが、もう少しこちらの都合を考えて休暇をくれてもいいじゃないか、とさらに落ち込みました。とぼとぼと、夜の10時過ぎにビュウビュウと吹きすさぶ風に心を破られ、悲しいのか風が強いからかわかりませんが涙が止まらない中こう思いました。

「沖縄行ってやる!離島でぬくぬく過ごしてやる!」

翌日の仕事の休憩中にネットでポンっと予約です。あっさり取れました。ええ、完全なるシーズン・オフですので。

別にどこでも良かったのですが、何となく石垣島の、さらに辺鄙なところに行ってみたくて「小浜島」を選択しました。

神戸空港から那覇空港へ。そして那覇空港から石垣空港へ。石垣空港からはタクシーで石垣港へ移動して、石垣港からジェットフェリーで1時間半ほど揺られてようやく、ようやく小浜島へ着きました。

ここまでほぼ10時間です。途中、何度も,

「なぜ、アクセスを考えなかったんだ!昨日の私!」

と自分を恨みましたがもう仕方がありません。ひたすらに飛行機に乗り、ひたすらに船に揺られました。

小浜島ではホテルの出迎えの運転手さんがウェルカムボードを手に待っていてくれました。マイクロバスに揺られること30分、目的のホテルへ到着しました。

とにかく失恋の痛手を癒したくて、はやくベッドで横たわりたくてここまで観光も何もせずに一直線にホテルへ行き、チェックインを済ませ自分のヴィラへ行きました。

文字通り身も心もボロボロの私の目に映ったのは想像の斜め上を行く美しいビーチでした。それだけで報われた思いでしたが、プライベート・ビーチに降りてみると感動はさらに増しました。

他に誰もいないのです。

当たり前です、二月ですもの。

でも、なんというか今まで経験したことのないまさに「プライベート・ビーチ」だったものですから自分が映画か絵画の中に入り込んだような気持でした。

一人で砂浜を歩いているときに.

「あ、私はこれが欲しかったんだ」

と自分の行動に納得しました。

ほぼ一日かけて飛行機を乗り継いで、フェリーに乗って私が来たかったのは「誰もいない美しい場所」だったのです。

恋人との破局にも、上司の扱いにも傷ついた私は誰にも会いたくありませんでした。今は友達に励まされるよりも、一緒に騒ぐよりもただ静かに、美しい場所で、一人で自分の傷を癒したかったのです。

沖縄の離島、小浜島は見事にそれを叶えてくれました。

部屋は完全離れのヴィラですし、食事もそこで可能です。おいしい食事をして、敷地内のエステでのんびり過ごして、誰もいない砂浜を散歩する。夜には海と星の見えるジャグジーに浸かって持ってきた小説を読みふけって、朝はのんびり起きて海を見ながらヴィラで朝食をとる。

そんな一週間を過ごしました。

何も考えなかったのに、いいえ、何も考えなかったからなのか、次第に恋人とのことはどうでもよくなっていました。

自分と将来を過ごす人ではなかったんだな、と海を見て過ごすうちに自然とそう思えるようになったのです。

人生最大の恋を失ったと思っていたのに、たった一週間で自分が幸せになるためのただの通過点になっていました。

旅行がなかったら、ひょっとしたら年単位で落ち込んでいたかもしれないのに。

もしまた傷つくようなことがあったら、きっと私はまたあの誰もいない、冬の小浜島リゾートに出かけると思います。