雨女と紙切れ1枚の奇跡

カテゴリー【旅✖️神様】の記事は、様々な人の旅先で起きた奇跡の瞬間を、旅人独自の表現方法でお伝えしている記事です。この記事を読んで、できるだけ多くの人に同じような奇跡の体験をしていただきたい、そのために様々な場所へ旅に出てもらいたい、その思いで伝えています。

 

私の友人にはとんでもない雨女がいる。

それまで私は、雨女だの晴れ女だの良く言われる人がいることは知っていたが、まわりにそんな友人はそれまでおらず、正直そんなものは迷信だと思っていた。

しかし、その友人(A)と出掛けると高確率で雨が降る。

近場やちょっと飲みにいく程度ならまだしも、遠出になればなるほどその確率はぐっと上がってくるのだ。

しかもちょっとした小雨、ではすまない。

一年を通してもそうそうない大雨が降るのだ。

前職場を通じ仲良くなったAと、もう一人の友人(B)とは3人で色々なところへ今でも良く出掛ける。

はじめて3人で京都へプチ旅行へ行った時(私は大阪在住)、どえらい雨だった。

傘などほとんど意味がない。3人ともレインシューズなどもちろんはいておらず靴のなかまでびしょびしょ。特にAはフラットシューズを履いていたのだが、その靴から噴水が吹き出しているのかと思う位、歩く度に水が吹き出していた。

事前に雨女だと聞いてはいたが、まさかこれほどだとは思わなかった私は、わりと斜に構えていたので、正直ちょっと引いた。

そんな友人Aが雨女力(?)を最大限に発揮したのが東京へ旅行に行った時のことだった。

予報は初日が曇り時々雨。2日目は雨だったと思う。

Bと二人で「Aのせいだ」とさんざん言いまくった。

Aは笑っていたが、中々ひどいことを言ったとちょっとだけ後悔している。

私たちは2日間ともディズニーリゾートに行く予定をたてていたので、初日にまず屋外のアトラクションを乗り、2日目に屋内のアトラクションに乗ることにした。

幸い初日は曇りだった為、アトラクションも十分に満喫することができたのだが、ホテルへ戻る時分から大雨に。なんとかホテルに戻ることはできたのだが、なんとその夜の東京は近年まれに見る嵐に見舞われたのだ。

TVでは数年に一度の降雨量であり、春の嵐だと流れていた。ニュースでも台風のときなどに良く見る、ヤシの(ような)木が左右にしなり、横なぶりの大雨が降っている光景を、私たちはリアルにホテルの窓から戦慄しながら眺めていた。実際台風並みだったと思う。

その時に私とBは「Aは本物だ・・・」と確信した。

この時ばかりは京都の雨以上に引いた。かなり引いた。

2日目ももちろん大雨だった。

ビニール傘がぶっこわれるほどの雨だった為、私たちは早々にディズニーを切り上げ、午後からは屋内でも楽しめるスカイツリー下にある、soramachiに行くことにしたのだが、その道中にもBの能力はいかんなく発揮された。

soramachiに向かうバスのなか、雨はやや小降りに。

Bは疲れたのか眠っており、Aと二人でその雨女振りについて話していたときのこと。

私が「あんたは干ばつで困っている地帯に行けば、女神みたいになれるんじゃないか」と言ったところ、

「こうやって手を掲げたら雨が強くなったりして」と冗談混じりにBが両手を天に向かってあげた瞬間。

まさに雨の勢いがましたのだ。

「ほんまにやめて!

私は思わず軽く怒鳴ったのだった。

そんな悪い意味での奇跡があった東京旅行だったが、良い奇跡もあった。

それは初日のこと、夜までディズニーランドを満喫したあと、Bが「ディズニーパスがない!」と言い出した。

持っていることを確認してから、ないと気づくまでは割と早かったので、その間に行った場所をさんざん探したが見つからず仕舞いで、Bは私たちに申し訳ないとかなり落ちこんでいたが、私自身、良く物を落としまくるのでその気持ちは痛いほど伝わったし、この広いランドのなかで、紙切れ1枚落とすことがどれだけ絶望的なのかも十分に伝わったので、しょうがないことだと思った。

次の日もディズニーにいく予定でパスが必要だった為、諦め半分でインフォメーションに。

紛失の手続きをして1時間ほどそのまま滞在していたのだが、そろそろ帰ろうかと言う時にBの携帯にパスが発見されたとの連絡が。

Bがパスを落としたかもしれない、と最初に探しにもどった場所に落ちていたようで、親切な人が届けてくれていたのだった。

広大なディズニーランドのなかで、善人に拾われて無事にパスが手元に戻ってきたことは小さな奇跡と言えるだろう。

このように色々な意味で忙しくも楽しい東京旅行での良い奇跡、悪い奇跡の両方をともに目撃することができた私は、ある意味ラッキーだったかもしれない。

そして東京から大阪へと戻る新幹線の座席に、大事な大事なお土産を忘れた。

そのことだけが今でも悔やまれて仕方ない。