飛行機が勝手に空港を変えた!待っていたのは?

カテゴリー【旅✖️神様】の記事は、様々な人の旅先で起きた奇跡の瞬間を、旅人独自の表現方法でお伝えしている記事です。この記事を読んで、できるだけ多くの人に同じような奇跡の体験をしていただきたい、そのために様々な場所へ旅に出てもらいたい、その思いで伝えています。

 

成田発上海行き。
運行していたのは中華航空。
選んだのはツアー会社で私自身ではありません。もともと中国行きはビジネスで、もらったチケットを受け取り、指定の飛行機に乗っただけのことです。

成田→上海間は、だいたい3〜4時間くらい?早いものです。

ところが、この飛行機に異常が起きました。
飛行機そのものの異常というより、どうやら着陸する予定の上海空港の「事件」のようです。

さすが中国、と申しますか、なんら細かい説明などなしに、突然、「これから飛行機は北京空港に向かう」らしきアナウンス。

それとて日本語なんかじゃありません。中国語を分かる同乗者が、「どうやら北京に向かうらしい」と訳してくれて、ようやくわかったことでした。

どういうことか聞くと、上海空港の滑走路で着陸に失敗した飛行機があるらしい、とのことで(この頃、上海空港には外国線の滑走路は1本しかなかった)、当たり前ですが、機内は騒然。

今になって思えば、スモッグが原因だったのではないか?(PM2.5ですね)とも思えるのですが、なにしろ中国ですから。乗客の質問など受け付けるでもなく、飛行機は、そこから2時間ほどもかかる北京空港に到着しました。

あの飛行機の窓から不安で眺めた中国大陸。忘れようとて忘れられません。

その後、またしてもなんの説明もなく、北京空港で待たされること1時間あまり。
空港内のテレビで、飛行機事故ならばテレビでやっているのではないか?と思って見たのですが、テレビでやっていた1番のニュースは「卓球」の話題でした(笑)。なにからなにまで中国らしい話です。

さて。空港には次から次へ、上海空港に降りられなかった飛行機が到着し、真夜中の空港ロビーは日本人を含む海外からの客でごったがえしました。

やはり日本人が圧倒的に多かったのですが・・・

そこに見覚えのある女性が。

なんと。かつて別れた、いわゆる元カノです。

日本でさえ出会うことがなかったのに、無理矢理集められたとはいえ、よもや中国で出会うとは!

しかし、搭乗客は飛行機単位で集められていたものですから、席を離れられません。
担当しているパーサーに説明しようにも、中国語が分からない。

しかたがないので、映画『卒業』のダスティン・ホフマンよろしく彼女の名前を叫びました。
彼女の名を叫ぶのなんて、何年ぶりのことでしょう。

もともと中国の空港は騒々しいのですが、さすがにこれは周り中、注目です。

彼女が驚いたことは言うまでもありません。

が、彼女がその場を離れられないのも、同じです。
事情を察した同乗者の中国語の分かる人が、いかにも融通のきかなそうなパーサーに説明してくれて、わずかな時間なら、という条件付きで、彼女のもとに走ることができました。

別れたとは言え、かつては愛し合った仲ですから。
それも中国で。
その再会は、バツが悪いことを通り越して、喜びに溢れました。
そう。まるで出会った頃のように。

聞けば、一流商社に勤めている彼女もまたビジネスで来ていて、すぐ隣には、いかにも頭のよさげな男性社員の姿もありました。もちろん、そんなことは気にしていられません。
本当なら抱きしめたいくらいに思っていたのですから。

そこから復縁して結婚にでも至れば、話はまた面白いのでしょうが、やっぱりそこまで上手くいく話なんかありません。

北京では、乗客はそれぞれ航空会社が手配したホテルへと移送されることになったのですが、別便の彼女は、僕とはまったく違うホテルでした。

もちろん、彼女が移送されたホテルを、日本から来た私が知るすべもなく。それっきり。
彼女ともう1度遭うには、上海は広すぎました。

今になって思えば、あの時、北京空港のロビーで、彼女の側に立っていた同僚とおぼしき男性こそ、後に彼女と結婚した人なのかな、とも思ったりもします。