一年前の夏休みのことです。
わたしは父母と家族3人で、2週間ほど使ってイギリスに旅行に行きました。
その時起きたハプニング、そして驚くような展開…
日本では考えられないようなことが次々に起こり、わたしにとっては決して忘れられない旅になったのです。
みなさんはイギリスの天気はどんな様子かご存知でしょうか。
実はほとんどが曇りまたは雨なのです。もっとも、イギリスの人はちょっとやそっとでは傘をさしたりはしないのですが。
そして、わたしたちが旅行に行った時も雨続きでした。
美しき川や建造物など、晴天のもとで見ることができたなら、どんなに良かっただろうか…と何度思ったことでしょう。
ところで、わたしたちは、初めの3泊はロンドンで過ごし、4日目はリーズ城という、ロンドンからは少し離れたお城に泊まる予定を立てていました。
リーズ城に行くためには、車を借りて、2時間ほど運転する必要があったので、わたしたちはレンタカーを借りました。
イギリスは、日本と同じように左側運転で、運転席は右側にあるので、父と母はさほど違和感を感じずにスムーズに運転できていたようです。
と、ここまでは順調だったのですが…。
ロンドン市内が思いの外混んでいたため、期限の時間内にレンタカーを返すことができるか怪しくなってきました。
本来ならば、ガソリンを満タンにしてから返却しなければならないのですが、なにせ時間がありませんでした。ですので、わたしたちは自分たちでガソリンスタンドを探すことを諦め、多少高くなるだろうとは思いつつも、レンタカー屋さんでガソリン代を払うことにしました。
いざ、レンタカー屋さんに到着し、支払いをしようとしたところ、「ガソリンが満タンでない場合、ガソリン代とは別に追加で30ポンドかかります。」とのこと。
当時のレートは1ポンド160円ほどだったので、日本円で約4800円です。
日本と同じように、多少高めだとしても、ガソリン代を取られるだけだと思い込んでいたわたしたちはびっくり仰天。
もう一度自分たちでガソリンスタンドを探しに行くか、30ポンド払うか…
母はガソリンスタンドを探しにもう一度出直すことを提案しましたが、父は、その日は目的地まで1人で運転し、混雑に耐え、ごちゃごちゃした見知らぬ道を進んだあとだったので、疲れ切っており、もう30ポンドくらい払うよ、というスタンスでした。
母は反対していましたが、よほど疲れていたのでしょう、父は母がトイレに行った隙にクレジットカードで支払いを終えてしまいました。
帰ってきた母はもちろん激怒。しかし、本当の問題はここからだったのです。
実はわたしたちは、300ポンドを30ポンドだと勘違いしていたのです。
書類上の文字がとても細かい上に、小数点が印刷でつぶれていたのです。
わたしたちは拙い英語で交渉しましたが、時すでに遅し。わたしたちの約48000円は消えてしまいました。
しとしと降る雨の中、悲しい気持ちのまま、リーズ城へ向かいました。
誰もが一言も喋らず、重い雰囲気だった中、突然まわりにいた大勢の鳥たちが一斉に飛び上がりました。
何かと思い、わたしたちは一緒に空を見上げました。すると、なんと太陽が顔を出しているではありませんか。
あんなに雨続きで、今日も一日中雨の予報だったにも関わらず、どんどんと太陽は自己主張しだし、ついには青空が広がりました。
青空の下で見た、水面に映るリーズ城がどんなに美しかったか、、、
わたしたちは、先ほどまでの沈痛な思いも忘れて、微笑み合いました。
特に母は、このリーズ城を1番に楽しみにしていたようで、嬉し涙を流したほどでした。
捨てる神あれば、拾う神あり。
この言葉の意味を身をもって実感した1日でした。