イタリアへの卒業旅行。アッシジで出会った最高の景色。

カテゴリー【旅✖️神様】では、様々な人が体験した旅先での奇跡の瞬間をお伝えしています。この体験談を読んで、旅で起きる様々な奇跡の瞬間を感じていただきたい、そして実際に旅に出て奇跡の瞬間を体験してもらいたい、その思いで伝えています。

 

あれほど素晴らしい景色との出会いはもう二度とないかもしれない。

そう思えるほど感動的な素晴らしい景色だった。

心を許せる仲間とのイタリア旅行

2011年2月。
6年間ともに過ごした仲間5人との卒業旅行で、14日間のイタリア縦断の旅に出発した。

もちろんツアーではなく、個人旅行。
行きと帰りの飛行機、そして数泊分の宿を事前に予約し、あとは気の向くままに旅をすることにした。

ヴェネツィア、ボローニャ、パルマ、アッシジ、フィレンツェ、ローマ、アマルフィ、カプリ島。

14日間という短い期間だったため、イタリア縦断とまではいかなかったが、イタリアの陽気な人々、歴史ある美しい建物、圧倒的な存在感のある風景、シンプルながらもコクのある美味しい食事に完全に魅せられた。

「幸福なるイタリアよ!そこでしか愛がなんであるかわからない。」

スタンダール「ロッシーニの生涯」の中の一節だが、まさにこの言葉通りの国だった。

アッシジという小さな町

そのような中、一生忘れられない景色との出会いがアッシジにあった。

小高い丘の上、オリーブ畑の斜面に沿って町が広がるアッシジ。12世紀の清貧の聖者フランチェスコの町である。町の中央にあるサン・フランチェスコ聖堂は世界遺産にも登録されている。

アッシジを訪れたのは、旅の中盤。世界遺産には登録されているものの、観光客の姿はほとんどない。町自体は非常に小さく、レストランやホテルもあまりないからだ。

アッシジの町に着いた時、天気は暴風雪だった。雪混じりの風がものすごい勢いで吹き付け、歩くのもやっとという状況。最低最悪の状況だった。

しかしながら、せっかくやってきた世界遺産の町。楽しまないわけにはいかないと奮起し、少ししかない観光地を巡り、最終的にある場所に向かった。

アッシジの町を一望できる大城塞ロッカ・マジョーレである。

町で一番高い位置にあるロッカ・マジョーレはオリーブ畑に囲まれた町を一望できる素晴らしいロケーションにある。

本来ならばである。

やはりこの日は最悪だった。暴風雪のため、周りの景色はほとんど見えず、体に吹き付ける風が容赦なく体を冷やしていく。

「晴れていたらきっと素晴らしい景色なのに・・・」

残念に思いながらも、旅とはこういうものだと言い聞かせ、ホテルに戻ることにした。

思わぬハプニング

次の日、朝起きてみると昨日とは打って変わっての晴天だった。

雲ひとつない晴天。

気温も高く、最高の天気だった。

さて、これからどうしたものか。
5人で話し合った結果、残りの日数もあまりないということで、次の目的地ローマに出発することにした。昨日がこの天気だったらきっと大城塞からの眺めは最高だっただろうと少し残念に思いながらも、次の目的地へ向けて希望を膨らませていた。

ホテルをチェックアウトし、駅に向かう5人。そこで、あることに気づいた。

「列車出発まで時間がない・・・」

ホテルのチェックアウトに時間がかかったため、時間がぎりぎりになってしまった。

急いで駅にむかった。

そして、

出発時間には間に合わず、残念ながら列車に乗れなかった。

しかし、ここからの判断は早かった。

次の電車まで約3時間。全員一致で出た答えは、

「昨日行った大城塞にもう一度行こう!」

神様がくれた景色

昨日と同じ場所、大城塞に着いた時、目を疑った。

あまりにも素晴らしい景色がそこに広がっていたからだ。

緑あざやかなオリーブ畑、遠くには頂上に真っ白い雪をかぶった山々、そして雲ひとつない青い空。

それぞれのコントラストが絶妙でなんとも言えず素晴らしかった。

今まで見た景色の中で、一番感動した景色だった。

昨日「晴れていたら・・・」と残念に思い、晴れた時の景色を頭の中で想像していたが、その想像をはるかに越えていた。

言葉では表せられない景色。

それが、このアッシジにあった。

僕たち5人は、今までの旅の思い出を噛み締めながら、思い思いの時間を過ごした。

旅とは不思議なものである

イタリア旅行から約6年。

あれから世界の様々な場所に行ったが、未だにアッシジでの瞬間を超える景色に出会ったことはない。

もちろん世界には様々な素晴らしい場所があり、まだ見ぬ場所もたくさんある。

けれども様々な要素がからみあって見ることができたあの景色。

もう一度同じ時期に行ったとしても、きっと二度と味わうことはできないと思う。

僕はこれが旅の神様が与えてくれた景色だと思っている。

旅を心から愛している人にだけ与えてくれる旅神様のご褒美。

これからもこのような瞬間を味わいたい。

僕はそう思って、旅を続けていく。