世界の果てで・・。

カテゴリー【旅✖️神様】では、様々な人が体験した旅先での奇跡の瞬間をお伝えしています。この体験談を読んで、旅で起きる様々な奇跡の瞬間を感じていただきたい、そして実際に旅に出て奇跡の瞬間を体験してもらいたい、その思いで伝えています。

 

世界最南端の町、アルゼンチンのウシュアイア

日本から見て地球の真反対側に位置するアルゼンチン。
そのアルゼンチンの南、世界で最南端となるウシュアイア市。別名、『世界の果て』
そのような名がついたのはきっと南極にも近く、人も少ない所であったと同時に囚人収容所があったことに由来するのかもしれない。

今は多くの人が住み、小さいながらも世界から多くの観光客が訪れる観光都市だ。
首都ブエノスアイレスからは南へ約3200km。日本の約7倍の国土という広さなので、もちろん移動は飛行機だ。3時間半ほどかかるが、まぁ日本からの35時間のフライトに比べたら
屁の河童である。

アルゼンチンでいう冬の季節に行ったのでだいぶ寒かった~!雪がかなり降っていて、普通のスニーカーでは寒いし滑るしびちゃびちゃになるし…。

思わず靴屋に飛び込んで皮のブーツを購入。日本では高級品に入るであろう皮靴も、牛肉の消費量が日本のコメの消費量と同じという驚異の国では安い!肉を食べまくるから皮も余っているのかな?

ところで、アルゼンチンではすべての道にナンバーと名前がついている。
タクシーとか乗るときには非常に便利。縦横の道の名前を言えば、そこへ連れて行ってくれる。反対に、日本には道に名前なんかないと言ったら、初めて行くところにはどうやったら着くのかと不思議がられた。確かに、知名度の高い建物などを目指して、右だの左だのいいもっていくもんなぁ。

話がそれたが、何度か雪道でこけた私。ウシュアイアでは、道でこけたらその道を買うという言い方をするらしく、私の道がいくつか出来ました。

ウシュアイアに行ったら乗ってみたかった真っ赤な鉄道、南フエゴ鉄道!
その名を『世界の果て号』!
もともとは囚人を載せたり、木材運搬用の列車だったようだけど、今は観光鉄道。

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ティエラ・デル・フエゴ国立公園のいいところをサクッと観光することも出来るし、もくもく煙を吐きながら進む蒸気機関車に乗れるなんて素敵!子供みたいにワクワクしちゃう。

お値段は結構高いけど、絵葉書の景色を切り取ったようなラパタイア湾をこの目で満喫し、写真を撮れただけで満足。野生のウサギや鹿?みたいなのもいた。

公園の山の中もぐいぐい進むもんだから、窓に木の枝がバサバサあたり、窓ガラスが割れるんじゃないかとハラハラするぐらい。

でもこの鉄道に乗れただけで、ウシュアイアの景色という景色はたっぷり見せて頂けたかな。広大な国立公園だった。

しかし、あのスイスアルプス(行ったことないけど)のような雪を頂いた山々をもっと間近で満喫したい!と欲を出した私は、満喫できる近くのスキー場までバスで30分くらいで行けるとの情報をゲットし、翌日友達とバスに乗ってスキー場へ。

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ちなみにスキーはしたことも、スキー場に行ったことも人生で一度もない。

なにしに来た?!と言わんばかりのスキー客からの痛い(多少)視線を浴びながら、リフトを待つ列に並び、いざ!頂上(近く)へ!

あまりの景色の美しさに大興奮!空気の冷たく美味しいこと!

そして、信じられないくらい綺麗な景色が目の前に広がった。

昨日の鉄道での国立公園とはまた違った、上から見る国立公園。
ほえ~!自然ってすっごい!自分ってちっぽけ!

ところが、リフトが徐々に高度を上げていくうちに、とんでもないことが起きた。気温がどんどん下がっていっていることに気づいたのだ。

え、何か手が動かない…。足の先も感覚がない。

やばい!私、凍っちゃう!

馬鹿な私は分厚いジャンバーとズボン2枚、靴下二足くらいの装備で大丈夫だろうと高をくくっていた。スキーをする人たちとは根本的に装備が違うのだ。

「ギャ~!降ろして~!私を降ろして~!」

叫んだところでここは山のリフト。遥かあちらに人々が楽しそうにスキーを滑っているのが見えるくらいで誰にも聞こえない。というか、ここで降ろされても困る。イコール遭難だ。

リフトは頂上まで残り半分くらいある。

押しくらまんじゅうする?いや、身体を温めるためにでも動いたら危ないだろう。神様ごめんなさい、私が馬鹿だった。昨日の鉄道で十分景色を堪能したのに。

アホな欲をだしたばっかりに…。

しかしどうしようもないので、ジッと我慢して到着するまで耐えた。

ようやく頂上に着いた時にはもう、頭もジンジン、体はフラフラだったが、頂上のリフト降り場には小さなお土産物屋の掘立小屋があり、喫茶コーナーもあったので、そこで温かいコーヒーを注文した。

ストーブで凍傷になりかけている手指とつま先を温めさせてもらい、コーヒーを頂いた。暖かさに心震えるほどだった。温まるものって素晴らしい!

リフトはもう懲りたので、帰りは頂上の反対側から降りるバスに乗って帰った。

世界の果てに観光に来て、世界の果てに逝ってしまうところだったわ。