エジプトに旅行に行ったときの話です。
ヨーローッパを旅行していた時にハンガリーからは飛行機が安いという嘘か本当かよくわからない情報を日本人旅行者から聞きました。
旅行本もパソコンも持たずに旅行していた私は、その情報を信じて、ハンガリーからこれまで行ってみたかったエジプトまでのチケットを購入したのです。
今思うと少しは安かったのかな?
その航空会社はルーマニア航空。
予定の日に空港に行ってチェックインをしたのですが、ルーマニアについてある事件が起こりました。それはチェックインしたはずなのに、ルーマニアからエジプトまでのチケットをなくしてしまったのです。
事情を話すとチェックインは終わっているので、エジプトにはいけるけれど、ボーディングパスの再発行で50ドルがかかると言われました。しかもその支払いはドル、もしくはルーマニアのお金のみ。私はドルでそのお金をしぶしぶ払いました。
お金を払いにいったカウンターには、英語の苦手なエジプト人もいました。
どうも私と同様にボーディングパスをなくしてしまったようです。しかもお金がエジプトのものしかないと言って大騒ぎ。両替のために外に出させろ!としまいには怒鳴っている始末。
この人が先にいたために何とかこの事態を収拾させないと、私の番がこないと思いました。これでエジプト行に乗れなかったら目も当てられません。
そのためにそのエジプト人に言われたわけでもないのですが、その人の分も払うことにしたのです。当然どこの誰とも分からない人なのですから、お金は捨てる覚悟でした。それほど自分のフライトが大切だったのです。
私がお金を支払って、そのエジプト人も自分が飛行機に乗れるということがわかると、人が変わったようにおとなしくなりました。
そして私に御礼を言うのです。私は自分のためにしたことだし、期待はしていなかったのですが、エジプトに帰ったら必ず返す、それまではこの携帯を預けておくから、僕を信用してと言うのです。
そして、無事にエジプトに到着。
それが夜中であったため、彼はわたしを送り届けると断固譲りません。私は夜中は空港で過ごして朝ホテルに向かう予定にしていたのですが、彼のあまりの強い要望に、有名な日本人宿に向かいました。
私はそのホテルのことを情報ノートでよく知っていました。彼はエジプトにもこんなホテルがあるのかと驚いたのでしょう。古びた建物の中のホテル、男女混合の大部屋にベット。セキュリティーなんてあったものではありません。
本当に大丈夫か?もっといいところがあるからそこを紹介するよと、本気で紹介してくれたのです。
でも何とか納得して、彼の携帯を人質に帰ってもらいました。携帯の話をすると、みんなからは騙されてる!とさんざん言われましたが、その3日後、彼は本当にお金を返しに来てくれたのです。しかも、その近くで食事まで一緒に。私は捨てたも同然のお金だったので、本当にびっくりしましたし、この人は悪い人ではなかったと安心した瞬間でした。
そして彼は言ったのです。
本当にありがとう、でもあんなホテルに泊まって、盗難とか問題ないの?と。
私は全くないし、快適だと伝えると、日本人は、本当に心がクリーンだな、だから信頼できるんだなと。
私の行為も褒められましたが、何となく日本人全体が褒められているような気がして嬉しかったです。
エジプト旅行は全部で2週間の日程でした。
その間に彼にあったのは2回。
はじめは怪しいエジプト人だと思いましたが、本当は情熱的で、心優しく、信頼できるエジプト人だったのです。
まさに自分にとっては運命の出会いとしか言いようがありませんでした。
彼のことも含め、エジプトはわたしにとって大好きな国の1つになりました。