東南アジア1周旅行
私が25歳の時でした。東南アジア1周旅行に出かけて、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、シンガポール、マレーシアを巡ってきました。2か月間バックパッカーとしての一人旅を楽しんできました。
それまでは海外旅行は友だちと一緒がほとんどで、一人旅はほぼ初めて。最初は一人でご飯を食べるのもドキドキでしたが、だんだん現地の人と一緒にご飯を食べたり、ゲストハウスで仲良くなった人と遊びに行ったりと一人旅を楽しめるようになってきました。
徐々に、バックパッカーも板についてきて、こなれた格好で街を歩き、ガイドブックにある観光地だけではなく、現地の人のおススメの場所や店にも行くようになってきました。
慣れてきたところでのアクシデント
それは旅にも慣れてきたラオスを出国する直前におきました。現地の人がタクシーのように使っているトゥクトゥクに乗って、空港に向かっていたところ、バイクに乗った引ったくりに持っていた2つのカバンのうち、1つを持って行かれてしまったのです。
盗られるときに、とっさにバックのひもをつかんで、パスポートだけはその場に落ちたのですが、パソコン、携帯、現金、飛行機のチケットを盗られてしまいました。

奇跡の救世主
途方にくれていた私を、トゥクトゥクの運転手が空港まで連れて行ってくれ、飛行機のチケットのキャンセルの手続き、さらに、警察での調書の作成を手伝ってくれ、前の日に泊まっていたゲストハウスのオーナーに、引ったくりのことを説明して、ただで泊めてくれるように言ってくれました。落ち込んで何も考えられなかった私ですが、ほとんど連れ回されるように、やるべきことをやれたおかげで、その日のうちに、保険会社に被害状況を報告し、1週間以内に、銀行口座に保険金を入金してくれることになり、それまでなんとか手持ちのお金で旅を続けられそうなので、次の日に出国することにしました。
できなかったお礼
実はそれだけいろいろしてくれたその運転手に、私はお金を払っていなかったんです。手持ちのお金があったので、それでお金を払おうとしたのですが、自分が乗せているときに、引ったくりに遭ったので、悪いと運転手はお金を受け取ってくれませんでした。
そのゲストハウスのすぐ前からそのトゥクトゥクに乗ったので、次の日にお礼を言って、お金を払えばいいやと思っていたのですが、次の日はタイミングが悪く、結局もう一度会って、お礼が言えないまま、出国になってしまいました。
巡りめぐった本
その後、カンボジアを旅行し、タイに行ったときに、こんな出来事がありました。
口座に保険金(とられたパソコンと携帯のお金ですが)が入り、なんとか旅が続けられるので、旅行のガイドブックでも買おうとバンコクの本屋に入ったときのことです。
ラオスで引ったくりに遭ったので、手持ちのお金が少ないのを心配して、持っていたガイドブックを、現地の古本屋で買い取ってもらったのですが、その私が売ったガイドブックがめぐりめぐってタイの古本屋で売っていたのです。
私が書いたメモや引いた線がそのままで、すぐに私のだと分かりました。そこに、そのお世話になった運転手の名刺がそのまま残っていました。パニック状態で、乗る前に名刺をもらったことさえ忘れていて、そのままラオスで売ってしまったのですが、偶然の再会で、連絡先を手に入れることができました。
そして、奇跡の再会
そのまま、シンガポールに行く予定でしたが、急遽バスでラオスに行くことにしました。
そして、その名刺を頼りに、ラオスに着いたら、運転手に連絡を入れようと思っていたのですが…。
実は、タイからのバスが着いたバスターミナルに、その運転手が偶然いて、感動の再会を果たすことができました。
お礼と言うお礼はできなかったのですが、1日チャーターをして、ご飯をご馳走させてもらいました。
世界は狭いなと感じた瞬間でした。